日本の着物の柄のルーツは、ほとんどインドにあるといっても過言ではない。
「更紗」の発祥はインドである。
絣(かすり)もパトラと呼ばれる原型がインドにあるし、
紬(つむぎ)はイカットで、これまた織りの原点である。
驚くことなかれ、絞りさえも、日本よりもズーっと昔から
タイ&ダイ(縛って、染める)という技法がインドにはあって、
ラジャスタンのサリーはほとんどが絞り模様である。
民族衣装のサリー。洪水のような美しい染や、織りの中で暮らしていると
いままで、鼻にもかけなかった日本の伝統「着物」が気になって仕方がない。
体型を考えてみても、日本人が一番美しく見えるのが着物であろう。
サリーはもちろんのこと、気張ってイブニングドレスを着てみても
かの国の人々には、とてもかないはしない。
海外に暮らすうちに、なんだか自分のアイデンティティを
着物を着ることに求めたくなった。
まぁ、こうるさい解釈は別として、
この際、染織意匠の原点のインドで
着物に合う帯をこしらえようと思うのがこの企画である。
更紗は、ジャイプールの草木染のブロックプリントという技法の染めものから、
絣(かすり)は、オリッサのパトラで、
紬は、南インドのカンチープラム、
絞りはラジャスタン
そして金襴緞子はベナレスサリーで・・・・。
インド各地のサリーめぐりをしながら帯を製作しようと思っている。
帯の仕立ては、京都にある帯の仕立て専門店カクマにお願いしました。
カクマさんは、アジアの布での帯作りを多く手がけていらしゃって、
サリーで帯を作る際の心配事、色落ちや、強度の面についても、親切にメールで相談にのってくださいました。
(もちろんインドからの遠隔相談で〜す。)
ラジャスタンの草木染サリーで
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ラジャスタンの草木染のブロックプリント オーガンジーのように薄い織りの コットンである。夏用の帯にと思うが 果たして、帯に仕立てることが出来るか? 布地の強度の面から、 2部式にするほうが無難かも (950ルピー) |
| サリーは、帯と同じように振りと胴がある。 写真の上半分の部分は左下を裾にして胴に巻きつける。 下半分のサリーの振りの部分で、お太鼓にしたら 柄がドンぴしゃりと決まる気がするのだが。 |
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じゃーん!できた帯はこちら!
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![]() 夏帯風な感じで帯芯も夏帯用の物、仕立て屋さん泣かせの薄物です。 デリーのお友達は、残りのサリー半分で九寸名古屋帯を作りました。 タペストリーとして飾るのが目的だそうです。 |
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![]() 帯揚げはシンガポールで買ったメキシコ産のロングスカーフ。 着付けを見学に来たMさんのを拝借した。 着物は、洗える着物「なんちゃって大島紬」 |
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オリッサの絣の吉兆文様(木綿)
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これはオリッサ州で織られるパトラ 典型的なオリッサの文様である。 市松の織りの中に、白絣で2匹の魚、 蓮の花、四角の模様はスパイスを引く石 左端の三角の部分はヒンズー寺院を 表現している。 吉兆の伝統的な文様で、いろいろな色の バリエーションがある。 季節を選ばずに使えそうな帯になりそう。 |
| 問題は、振りの部分をどうするか? 胴と振りが色も模様もあまりにも違うので、 やっぱり振りは使わずに仕立てるほうが いいかもしれない。 振りの紫の部分は、小物に使えると思うのだが。 半幅仕立てで、浴衣にもよさそうですけど。 |
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じゃーん!できた帯はこちら!
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![]() 思いもかけないご提案をカクマさんから頂いて、二部式の帯をリバーシブルに仕立てました。 思いがけず、1つのサリーから帯が3本できてしまった感じです。(実際は2本)振りの部分の紫は、 帯には向かないかと思っていたけど、仕上がったら、お気に入りの帯になりました。 左と同じ柄の袋帯は、日本のメル友・Mさんのもとへもらわれていきました。 |
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オリッサのパトラ 婚礼衣装 (シルク)
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| 亀の吉兆文様(振り) | 日本の絣にもよく似ている(胴) |
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写真だと色がかなり濃いが、控えめな赤である。 オレンジの色気もなかなかいい感じである。 上部の振りをお太鼓にして、この部分の文様をひとつ とった胴の絣の部分を前に持ってきたらいいかと思う。 金のボーダーをどのようにアレンジするかが、思案のしどころ。 大島などの着物にいいのではないかと思っている。 シルクでもかなり薄い生地。 パトラには、昔の銘仙って感じサリーが多いのだ。 大枚はたいて、4790ルピーでした。 袋帯と、2部式の2つを作ろうと思っています。 |
じゃーん!できた帯はこちら!
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![]() これは、快心の出来栄えでございます。これまたリバーシブルです。 紺地の着物、そうよね紬かしら?そういう渋ーい色の着物にキリっと締めたいですよね。 自分で仕立てたねずみ色の紬の合わせにもいいかなと思っているのだ。 帯紐(象げ色)、帯揚げ(ねず水色)などの小物まで一気にそろえてしまった私です。 中央のオレンジ柄はインドの亀。亀はインドの世界観をあらわすおめでたい模様です。 左の同じ柄の袋帯は、日本の妹にもらわれていきました。 |
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![]() 色っぽ〜く、着せていただけました。 帯締めは薄い象牙色のつもりだったが新品を下ろすのをためらって 薄めのピンクに、帯揚げはねず水色。 |
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サリーで帯を作る YUKKEのお節介アドバイス インドのサリーで帯を作るときの大事なことは、サリーの振り(パロ)と、ボーダー(縁の部分)をどう生かすかです。
カンチープラムや、ケララのサリーのように、全体は無地単色で、ボーダーとパロの部分にだけ豪華な織りや刺繍のものは、帯に仕立てたときに、お太鼓と、前帯に連続の模様が反映されません。サリーのスカートに巻く部分にも、柄があって、パロの部分と同じ同系色なら、上手くいきます。また、今回のように、2部式や、リバーシブルに仕立てるのならば、パロとスカートの部分の模様に連続性がなくても仕立て上がりがいいと思います。多くのサリーがスカートとパロに色のコントラストを効かせている物が多いので、こういうサリーは避けたほうが無難です。(赤の胴スカートに緑のパロというようなものが多い)
帯には、どんな布地でも加工ができるそうですが、ボーダー(縁の部分)は、サリーを織る上でどうしても織りムラが入りやすく、2万円以上の高価なサリーくらいにならないと、ボーダーを生かした帯の仕立ては難しいです。
今回の帯の場合も、ボーダーには織りムラが多くて、ボーダーの使用を断念しました。ボーダーの部分は、帯に反映されなくても、
いい柄ゆきの物にしたほうがいいでしょう。
マーケットで売っているサリーには、500円くらいからありますが、着物と合わせる以上、布地の品質はやはりある程度上等なものでないと、帯のお仕立て代に見合いません。
木綿でも1万円くらい、シルクなら2万円くらいのものから帯仕立てにしてはいかがでしょうか?信頼できるサリーのお店で買ったシルクや木綿は、当然のことながら色落ちや、強度の面でも安心できます。
また、実際にサリーを帯に仕立てた時の感じに、畳んでみるのも柄の雰囲気を味わうのに大切です。
私は二重太鼓にしてもいいように、なるたけパロの大きなもの(パロには50センチから100センチくらいまである)を選んでいます。
インド人の友人の見立ては、柄や、模様を知る上では参考になりますが、どうしてもどぎつい色を選びがちなので、自分の趣味や、好み、着物の色柄をしっかり把握して、自分の目で選びましょう。これぞ、サリーで帯を仕立てる醍醐味です。サリーショップの店員さんに、サリーの産地、柄の特徴を聞いておくのもお忘れなく。モダンな柄も面白いですが、インドの古典柄や、産地の特長を生かした柄を選ばれるほうが、面白いと思います。手書きの模様のサリーもモダンサリーとして売られていますが、日本の友禅と比較したら、比べ物にはなりません。
サリーの場合は、染めについては、草木染のブロックプリントや、絞りなどなら面白いでしょうが、プリントのマンゴー柄などは、現代的な染色技術(機械染め)なので、避けたほうがいいと思います。
もしも、サリーで素敵な帯を作られたら、ぜひお知らせくださいね〜!